アート2020.12.09

アトランタ

ニューノーマルの公共空間。コミュニティとつながる「Mi Casa, Your Casa」

時代によってアートの解釈や評価が大きく変わることがあります。「Mi Casa, Your Casa(わたしの家、あなたの家)」というインスタレーションが、2020年のニューノーマルで再び脚光を浴びています。一定の距離を保って置かれた赤い家型フレームは、公共空間の中でコミュニティとつながるソリューションを示唆しています。

「Mi Casa, Your Casa」のインスタレーションは、2020年のソーシャルディスタンスが必要な時代に新たな意味を持ちます。赤いフレームは、人々が距離を保ちつつコミュニティとつながり、公共空間を安全に利用できる可能性を提示しています。

「Mi Casa, Your Casa」は、メキシコ人のデザイナー Héctor EsraweとIgnacio Cadenaの2人によって制作されました。コンセプトは、ラテンアメリカの活気あるストリートマーケットからインスピレーションを得ています。

「Mi Casa, Your Casa」は、2014年の7月から11月まで、美術館に近隣コミュニティを参加させる目的のもと、米国アトランタのハイ美術館に設置されました。その後、様々な都市や国の美術館、道路、公園などにも設置され、2017年には、メキシコで地震で家を失った家族の一時的な避難所としても使用されました。

ハイ美術館のインスタレーションでは、40個の立体的なオープンフレームが展示されていました。赤いフレームの中には、ハンモック、ブランコ、イーゼル、チョークのビン、バケツに入った泡水などがあり、参加者に遊びやくつろぎの時間を提供しました。

エクステリアのない赤いフレームの家は、内と外の境界をあいまいにします。それぞれの参加者が独自につくる空間のコンテンツはむき出しにされ、互いに作用し影響を及ぼし合います。

ハイ美術館は、アトランタの様々な芸術分野のアーティストやパフォーマーとコラボレーションして、インスタレーションを盛り上げました。

「このインスタレーションは、エモーショナルな遊び心のあるデザインを通して公共空間を活性化し、人間の相互作用の価値を示すことが核となっています。想像力、オープンマインド、共創の精神で、コミュニティを形成することを目的としています」とデザイナーのEsraweは語っています。

「わたしたちは、すべての観客が認識できる最もシンプルなピクトグラムとして、温もりとおもてなしのメタファーである家の形を選びました。インスタレーションは多数のシナリオで展開可能であり、ソーシャルディスタンスを保ちながら、様々なアクティビティを柔軟に開催できます」

「『Mi Casa, Your Casa』は、生きたオブジェであり、住む、遊ぶ、一緒に音楽を創造する、学ぶ、祝う、自分や他者を観察するための空間であり、ワークショップであり、オープンな表現と相互作用のためのキャンバスです」とEsraweは語ります。

「Mi Casa, Your Casa」は、シンプルな赤い家のピクトグラムだからこそ、人々のクリエイティブを刺激し、公共空間を遠近法でフレーミングして、コミュニティを活性化する力が宿るのかもしれません。ニューノーマル時代に求められるアート思考のヒントになりそうです。

Via:
esrawe.com
high.org