イベントレポート

地域コラボレーション2020.10.11

日ノ出町

【地域コラボイベントレポート】Art TO Eat「You are my gift」 新しい出会いと絆への旅路

会場の「Tinys Yokohama Hinodecho」

  官民協働でアートによるまちづくりを推進している黄金町・日ノ出町・初音町エリア。2008年から開催されている黄金町バザールは今年で13回目を迎え、「アートの街」としての認知度も上がってきています。さらに、年に数回まちぐるみで開催される大人気のイベント「パンとコーヒーマルシェ」には地元の飲食店が数多く出店するなど、食が豊かなこともこのエリアの特徴です。2020年には、日ノ出町・黄金町間の高架下に4店舗の飲食店が出店する「日ノ出町フードホール」、カフェを併設する焙煎所「ChairCOFFEE ROASTERS」がオープンし、食の分野でも、さらなる街の賑わいづくりが期待されています。

【日ノ出町フードホール】
https://hinode-chofoodhall.com/

【ChairCOFFEE ROASTERS】
https://chaircoffee.buyshop.jp/

左から、ChairCOFFEE ROASTERS伊藤綾子さん、アーティストのKim Gaeunさん、YADOKARI伊藤幹太さん

 そこで、去る9月19日、プランナーの伊藤幹太さん(YADOKARI株式会社)を中心に、高架下の事業者と連携しながら、食とアートを交差させたイベントが開催されました。イベントのタイトルは、『Art TO Eat「You are my gift」 新しい出会いと絆への旅路 ~あなただけの物語が紡ぐたった一つのアート体験』。同じく日ノ出町・黄金町間の高架下ある複合施設「Tinys Yokohama Hinodecho」を会場に、黄金町のレジデンスアーティストであるKim Gaeunさん、ChairCOFFEE ROASTERSの食空間スタイリストの伊藤綾子さんをゲストに迎えてのイベントです。この街で食とアートを軸に活躍する3名によって、どのような食とアートの化学反応が生み出されたのでしょうか。

 さらにこの日は、9月11日から第1部が始まった「黄金町バザール2020ーアーティストとコミュニティー」の真っ最中ということもあり、街は賑やかに。そんな街の様子も含め、イベントの模様をお伝えしていきます。当日の様子は下記の映像でもご覧いただけます。

当日の様子を動画でご覧ください!

 ニューノーマルな体験型ワークショップ

イベントは、オンライン、Stay Home、テイクアウトといった時代のキーワードを取り入れた、まさにニューノーマルな形で開催されました。

アーティストトーク映像より抜粋。

 参加者の方は、イベントのファーストステップとして、事前に送付されたアーティストトークの映像を各自好きなタイミングで視聴します。アーティストトークでは、プランナーの伊藤幹太さんを中心に、Kim Gaeunさん、伊藤綾子さんの活動についての紹介や今回のイベントへの思い、Gaeunさんの作品づくりのこだわりや絵を描き始めたきっかけなど、密度の濃いトークがくり広げられました。

実際に使用されたワークシート

 セカンドステップは、郵送されたワークシートを使って自宅で行うStay Homeワークショップです。ワークショップのテーマは、「大切な人と出会いなおす」。参加者の方は、自分にとって大切な人、よく知っている人を1人選んで電話をかけます。その人に3つの質問をし、答えをワークシートに記入するというテレフォン型のワークショップです。

サンドウィッチを受け取る様子

 そのワークシートを、イベント当日にTinys Yokohama Hinodechoへ持参すると、ワークショップの結果をもとに「あなただけのスペシャルサンドウィッチ」を作ってもらうことができます。行きたい場所、イメージカラー、数字当てゲーム。この3つの質問から、なぜこのサンドウィッチが作られたのか、その理由を伊藤幹太さんがひとりひとり丁寧に説明しながら、ランチの受け渡しを行っていました。

 

作品を 鑑賞している女性

 Tinys内にはGaunさんの作品が展示されており、参加者の方は作品を鑑賞しながら、サンドウィッチの完成を待っていました。

 

Chair Coffee ROASTERS特製のオリジナルドリンク

 Tinysでランチを受け取った後は、歩いてすぐの高架下にあるChair Coffee ROASTERSに移動し、オリジナルドリンクを受け取ります。こちらのドリンクは、Gaunさんの作品を見た伊藤綾子さんがそのイメージをもとに作ったこの日だけの特別なもの。

Chair Coffee ROASTERS
https://chairsun.com/

ワークショップセット

 ワークシート、サンドウィッチ、オリジナルドリンクをすべて揃えたら、参加者の皆さんのミッションは完了です。

コロナ禍でなかなか会うことのできない家族へ

参加者の男性

参加者の男性「ワークショップをやってみて、強制的に電話かけなきゃいけないっていうのが楽しかったですね。離れたところに住んでいる弟が電話をとってくれて、今こういうワークショップやってるんだよって話をして。コロナの影響もあって、今年は一緒に出かけたりっていうのがなかなかできなかったので、用事なく連絡できるっていうのは良い機会だったなと思います。

サンドウィッチはめっちゃうまいです。自分でイメージを出すのではなく、他の人からのイメージで作ってもらうっていうのがおもしろいですよね。行きたいところは?という質問に、弟が『兄さんと一緒にハワイに行きたい』って答えてくれたのと、僕のイメージがオレンジカラーということだったので、それでサンドウィッチを作ってもらって。口の中が南国っぽい感じになってます。」

参加したご家族

ご家族で参加した男性「ワークショップは、大切な人への電話ということだったので、離れて暮らしている両親に電話をかけました。この電話をきっかけに、全然関係のない昔話とかができたので、コロナ禍でそういう人に電話ができたっていうのは良い機会だったなと思います。(テーマの出会いなおすについて)まさにこの時代のテーマだったんだなっていう風に思いました。

 今のコロナ禍でこういったイベントが少ないなかで、すごく工夫をされたイベントに参加させてもらって、この街の雰囲気とかも含めて、久しぶりにワクワクさせていただきました。」

もっと知りたい、作品に触れたい!

参加者の女性

参加者の女性「アーティストトークのGaunさんのお話のなかに心に残った言葉があって、それが印象に残っています。1つは、『私は言葉で伝えきれないことがあるから、それを伝えるために絵を描くようになった』という話。もう1つは、『人と交流することが自分の生きがいで、幸せを感じる』という話で、わたし自身がすごくそれに共感したので、心に残っています。その後にGaunさんの作品についてのお話を聞いて、もっと知りたい、作品にも触れたいって思いました。

初めてこういうイベントに参加したのですが、ひとりひとりこんなに違うサンドウィッチが出てくるとは思っていなかったし、質問の回答からこういうものができあがるって全く想像していなかったので、すっごいびっくりしました。楽しかったです。」

参加者がテイクアウトしたサンドウィッチ

 プランナーの伊藤幹太さんによると、参加者の人数を上回る約30パターンのサンドウィッチを想定して準備がされており、当日に作ったサンドウィッチはほとんど被ることはなかったそう。しかし1組だけ、ご夫婦で参加された方が偶然にも同じサンドウィッチになるという素敵なミラクルが起きていたそうです。

「街のいろんなところを見に行きます」

ワークショップでは、お互いに質問をしたというこちらのおふたり

参加者の女性「青空のような元気いっぱいのイメージで、彼の色を青色と答えたんですけど、それを透き通った青みたいな感じでキウイフルーツを選んでくださって、発想がすごいなって思いました。

こういうイベントに参加したのが初めてだったので、質問に答えてそのイメージのサンドウィッチを作ってくれたり、小さい個展のように絵をいっぱい見せてくれるっていうのがどういう感じなのかわからず、来る前まではすごくドキドキしてたんですけど、いざ来てみたらすごく楽しかったです。この後も街の色んなところ見てみようと思っています。」

このイベントは、「黄金町バザール2020ーアーティストとコミュニティー」の引換券付き。ランチを終えた参加者の方は、Gaunさんの最新作をはじめ、バザールに出展しているアーティストの作品を鑑賞しに、黄金町の街へと歩き出していました。

大岡川に新たな賑わいを

mizube barを利用するお客さん

この日、Tinys Yokohama Hinodecho前の川辺には、日本大学理工学部海洋建築工学科の親水工学研究室によって、「mizube bar」が設置されました。mizube barは、川辺や海辺に設置されている防護柵などをカウンターバーとして活用する空間装置です。台が1つ設置されるだけで、あっという間にその場所はテラス席。イベント参加者のなかには、mizube barのカウンターで川を眺めながらサンドウィッチを食べている方も多くいらっしゃいました。

mizube barについて
https://culture.yokohama/event/621/

mizube barはいろいろな用途で利用できます

 さらに、黄金町バザール2020で街を訪れた人がこの場所でお茶を飲んだり食事をしたりと、何気なく川沿いを歩いている人が自由にmizube barを楽しんでいる姿がとても印象的でした。開放的な空間が求められるニューノーマル時代にぴったりの試みですね。

SUPをしている様子

 mizube berカウンターの視線の先にある大岡川では、横濱SUP倶楽部によるSUP体験が行われていました。さらに、大岡川沿いにある日ノ出町フードホールでは、この日から4日間のシルバーウイーク限定で、「日ノ出町フードホールDXオードブル」を販売。

日ノ出町フードホールDXオードブル

しっぽ団、Farm Deli & Bar by yokohama vegemate project、西麻布角屋監修ハイカラ酒場、高架下チキンの4店舗全ての料理が1皿に盛られた贅沢なプレートがお得に販売されているとあって、多くの人が日ノ出町フードホールの味を楽しんでいました。

【日ノ出町フードホール】
https://hinode-chofoodhall.com/

新型コロナウイルスの影響で人足が遠のいていた街に、少しずつ、けれど確実に、新たな賑わいが生まれていることを感じます。

ニューノーマルな時代に、この街が持つ可能性

展示風景@Tinys Yokohama Hinodecho

 新型コロナウイルスの影響で、移動が制限されたり、オフラインで人々が集うイベントが開催できなくなったりと、厳しい状況が続いていました。緊急事態宣言が解除された現在も、すべてが元通りになったとは言えません。それでもこの街には、魅力的な作品を創り続けるアーティストや、新しい時代を楽しむことのできるプレイヤーがたくさんいます。新しいノーマルが作られていく時代に、この街ではきっとおもしろいイベントがたくさん生まれるはず。そんな可能性を感じることのできる『Art TO Eat「You are my gift」 新しい出会いと絆への旅路 ~あなただけの物語が紡ぐたった一つのアート体験』の1日でした。

次回の開催について

黄金町でレジデンスアーティストとして活動されている三輪恭子さんと、「日ノ出町フードホール」内にご出店されている横浜のオーガニック農家チーム「ヨコハマベジメイトプロジェクト」直営店「Farm Deli & Bar by yokohama vegemate project」店舗マネージャーの小出好美さんとのコラボレーションのもと、Art TO Eat Appreciation of the individuals “ひとりのお祝いを開催致します!

◎イベント概要

【開催日】2020年10月24日(土)*リアルイベントの開催日
【時 間】スタート:11:30 受付終了:14:00 完全終了:14:30
【参加費】1,500円(スペシャルランチ&展示付き)
【定 員】20名
【申し込みチケット】http://ptix.at/VauDnQ
【場 所】Tinys Yokohama Hinodecho
【住 所】〒231-0066 神奈川県横浜市中区日ノ出町2-166先(日ノ出スタジオ横)
【主 催】京浜急行電鉄株式会社
【運 営】YADOKARI株式会社

このほか10月24日には黄金町で大人気のローカルマルシェ「はつこひ市場」が開催されます!
https://hatsukohiichiba.wixsite.com/hatsukohiichiba

最新情報ははつこひ市場の facebook   instagram をご覧ください。
さらに、本イベントでも登場したmizube bar、SUP体験、MEGASUP、そしてフードホールでは特別メニューなどもご用意。

引き続き京急沿線日ノ出町駅〜黄金町駅間の高架下は事業者のコラボレーションにより様々な企画を行っていきます。
どうぞご注目ください!

動画撮影・編集 / Naoki Yoshimoto
取材・文/ 橋本 彩香