お出かけスポット

商店街2021.01.19

阪東橋・黄金町

歴史ある商店街の賑わいを作るのは「繋がり」と「アイディア」

横浜橋商店街

 洪福寺松原商店街、六角橋商店街と共に、横浜三大商店街に数えられる横浜橋商店街。日本を代表する落語家である桂歌丸師匠の地元としても知られている。戦前の闇市から始まり、戦後の混乱期には食料品や生活必需品の販売を通して周辺地域の復興を支えてきた。現在は全長360メートルの通りの両端に116の店舗が軒を連ね、1日に約2万人が買い物に訪れるという。令和という新しい時代においてもなお、横浜橋商店街が賑わいを見せている背景には、人との繋がり、そして独自のアイディアで商店街を盛り上げようと奮闘する店主たちがいる。

店主によるイベント部、発足!

 横浜橋通商店街協同組合の理事長を務める高橋一成さん(高橋薬局)は、「うちの商店街は時代の変化と共に形を変えながら続いてきた商店街なんだ」と語る。2017年に理事長になった高橋さんは、理事会のなかに商店街の店主たちで構成されるイベント部を発足。以来、年に数回の大抽選会、子供の縁日、大人の縁日など、1年に10以上のイベントを開催している。なかでも人気なのが、毎年6月、7月、8月に月に1度ずつ開催される大人の縁日だ。今年は新型コロナウイルスの影響により開催が中止されたが、例年は通りの中央にズラリとテーブルと椅子が並び、商店街で購入したお酒とおつまみを夕涼み感覚で味わうことができる。毎回異なるゲストを招き、生のライブ演奏が楽しめるのも魅力だ。

 さらに、横浜橋商店街では、修学旅行や商業高校のマーケティング授業など、学生の受け入れを積極的に行っている。北海道・石狩の中学生は、自分たちが持ってきたものを商店街で販売し、その売り上げから商店街で好きなものを購入する、という社会科の実証実験を行った。2019年10月に行われたこの実験では、5人の中学生が2時間で約27万円を売り上げたそうだ。新型コロナウイルスの影響で、本年度の学生は商店街に足を運ぶことができなかったが、記念品を送るなど、変わらずに交流は続いているという。

横浜橋の見どころ、手作り横断幕

 横浜橋商店街を歩いていると、アーケードに個性的な横断幕が張られていることに気付く。横浜橋商店街にある横断幕は全て、商店街の方々の手作りだというから驚きだ。時流に合わせて横断幕のメッセージも変わる。2020年の12月は、社会情勢に合わせ「ことしは おうちで クリスマス。」という横断幕が掲げられていた。これらの横断幕をデザインしているのは、横浜橋商店街にあるフルーツとくながの店主・徳永さん。徳永さんは学生時代に美術部で培った技術を活かして、横断幕だけでなく、自らアイディアを出し商店街のエコバッグやポスターのデザインも行っている。徳永さんは、「自分たちで創り上げていく感覚があるため、今の商店街はおもしろい」と高橋さんに話をしているそうだ。

沢庵の樽を使った散布機で「コロナバスター」誕生

 昨今は新型コロナウイルスの影響により、商店街での買い物を再評価する声があがっているという。屋外である商店街は、風通しがよく3密を避けることができる。野菜や果物などの商品は袋に入れてあるし、魚屋では客が選んだ品物を店員が手にとって袋に入れるため、不特定多数の人が触った商品を手に取る心配がない。そのため、日々の買い物の場として商店街を選ぶ人が増えたそうだ。

 横浜橋商店街は新型コロナウイルス対策として、週に1度、手作りの散布機で通りを消毒する「コロナバスター」を行っている。これはイベント部だけではなく、商店街の店主全員で話し合って生まれた取り組みだそうだ。均一に消毒ができるよう、商店街の人々で試行錯誤しながら、沢庵樽を用いた散布機を創りあげた。さらには、商店街の店主たちのアイディアから、デジタルサイネージを使って動画を流す、ホームページをリニューアルするなど、Go To 商店街を盛り上げる取り組みが準備されている。

キラっと光る宝石のような店を探して

横浜橋通商店街協同組合の理事長 高橋一成さん

「とにかく隅から隅まで歩いてもらいたいです。横浜橋商店街には、あまり目立たないけれど宝石のようにキラっと光る店があったりするので、そういう店を自分なりに探して楽しんでもらえたらなと思います。

社会が落ち着いたら、横浜市中央卸売市場とコラボしようという話も出ています。他にも、京急高架下から伊勢佐木町、大通り公園、横浜橋商店街に地図上で線を引くと郵便のマーク(〒)のようになるのですが、このエリアで繋がりを作って、一緒にイベントなどをやっていけたらという野望があります。特に、すぐ傍にある大通り公園と合わせて、あの辺りに行ったら四六時中なにかイベントやってるよ、と言われるようになりたいです」(高橋さん)

 商店街を盛り上げたいという気持ちで店主たちが一体となっているからこそ、次から次へとアイディアが出てくる。そしてそのアイディアを店主たちが連携し合って楽しみながら形にしていく。そんな人との繋がりとアイディアによって、令和の時代においてもなお、横浜橋商店街は多くの人々に愛される商店街として賑わい続けている。周辺エリアとの連携を強めて、今後さらなる盛り上がりが生まれていくのも楽しみだ。

文/橋本彩香

スポット情報

横浜橋商店街

横浜三大商店街の1つ。戦後の闇市からスタートし、90年以上の歴史を持つ。2020年12月現在は116店が軒を連ね、一般家庭だけでなく、飲食店の仕入れの場としても利用されている。

住所:〒232-0022 横浜市南区高根町1-4
TEL:045-231-0286
HP:いきな下町 横浜橋商店街 | Yokohamabashi Shopping District